こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
CB‐F/R系のRCMは ベースとなる旧車価格の高騰やパーツ入手の困難さから
もはや成り立たないと、 事実上 CB-F/RのRCMは製作不可能と判断したのが
昨年の事・・・
少し前までであれば何とかなったものも 残念ながらこれからは年々厳しくなって
行くのは間違いありません・・・
RCMクラフトマンシップでも CB-F/R系の新規製作車に関しては、今後はもう
2度と造られる事はないと思います。
空冷Z系の場合はベース車価格の枯渇と高騰が問題ですが、CB系は色んな意味で
本当に厳しい時代になってしまい お手上げだったんですが、オーナーさんの情熱と
ご予算への配慮を頂きまして製作が実現したこのマシン・・・
大阪府在住 S・Nさんの、RCM-525 CB1100F(その2)です!
「まずはエンジンオーバーホールの為のパーツをキープすべし!」
これがCB-F/R系と対峙をする上で自分達が最も重要視しているテーマです。
エンジン内部パーツは入手できなくなった永久欠品パーツが多く、特に特殊な
パーツに関してはオークション等で出て来た時に手に入れると言う 気の長~い
やり方になる事から、とにかく時間が必要・・・
今でも何とか新品で入手が出来るパーツは いきなり全部発注し、欠品している
パーツに関しては数ヵ月間かけて少しづつ揃えて行くと言う作戦。
その間に車体を進めて行くのですが、エンジンパーツが揃うまでに長い時間が
掛かる事から 1年と言う長期製作コースとして進めております。
エンジンパーツが揃うまでに まだ相当な時間が掛かりますから、車体の作業も
焦らず 丹念に進める事ができる・・・
今回1年と言うとんでもなく長い期間を頂けた事も CB1100FのRCMを
実現できる事になった要素の一つで オーナーS・Nさんには本当に感謝! (^^)
画像は 油圧プレスでフラットなプレートをガセットへと押出し、中央にあけた
穴を捲り上げるバーリング加工中・・・
何度も言って来ましたが、穴の縁を捲り上げる事で 板材のねじれ剛性は格段に
上がりますから、見た目ではなく大きなメリットがある加工です。
フレーム自体への補強は、数で表現するなら 計5ヵ所・・・
CB-F/R系が持つ素材の性質から過剰な補強は不要で、Z系とは異なる
フレーム補強を施します。
最もテクニカルな加工となるのがリアサスのレイダウンで、サンクチュアリー
独自路線の手法はもちろん、おなじみレイダウン治具無しでは とてもじゃない
ですが出来ないもの・・・
ほんと、このレイダウン治具・・・
もうかれこれ20年近く、何百台?ものレイダウンをこなして来てくれたから
相当へたって来ちゃったな~・・・ (;^ ^A
RCM CB-F/Rでのレイダウンは Z系の様にシートレールに下穴を開けて
サスマウントブッシュを溶接する従来の手法ではなく、シートレールの下に
専用のブッシュを固定して そこをブラケットで囲う形にするもの・・・
何もない空間にブッシュを浮かせてブラケットで包み込む箱状の加工となる為
サスマウントの位置や左右の幅など 過去に数台ですが製作されたCB‐F/R系
RCMのデーターを元に位置決めして進めます。
溶接トーチが届く範囲の ある程度の段階まで治具を取り付けしたまま溶接をし
今度は治具を外して囲ったブラケットの溶接を完了させます。
溶接の技術は言うにおよばず、板金センスも問われる部分なので CB-F/R系
RCMフレーム加工における最も難易度の高い作業と言ってもいいでしょう。
サスマウントの平行や角度など、精度を上げる目的から左右に芯がねパイプを
差し込んだまま溶接しており、最後にこのパイプを切断して抜けば完成・・・
このままこのパイプも溶接してしまった方が より剛性が高くなるのでは? と
つい思いがちでしょうが、ここは左右切り離して独立させるのが基本・・・
実はフレームはガチガチに硬ければ良いと言うものではありません。
むしろある程度しなってくれるフレームの方が 乗り易い良質なフレームと言え
そういうフレームの方がコーナリング特性も良かったりするものなんです。
概ねフレームの加工は終わりましたが、パウダーコーティングする前にここで
ステアリングステムの組み付けと ちょっとした造り物加工を施す事に・・・
ステムKITはSCULPTURE製 Z用のSPを用い、ステムシャフトのみ
A7075超々ジュラルミン材からCB‐F用寸法に削り出したワンオフもの。
ハードアルマイト処理を施した後にアンダーステム側に圧入して ボルトオンの
ステムKITとして仕上がったものです。
仮組みをしたのは、ステアリングロックのアングルを製作しフレームヘッドに
溶接する為で、これで左右共にきっちりロックが掛かります (^_-)-☆
右下に見えるノーマルのステアリングロックシリンダー部は いわゆる横から
キーを差し込んで掛けるタイプのものなんですが、メインキーと一体になった
集中式ステアリングロックの方が良いとのS・Nさんのご希望もあり、ここは
より利便性の高い集中式で行こう!と 加工した次第でした!
あとは先ほどの横から掛けるステアリングロックスリーブを切除して、パッチを
溶接して穴を塞げげば、いよいよフレームの完成・・・
出来ました~っ!!
若干 湯浅の顔が変ですが、本人はこの画像でいいとの事でして・・・ (^^;)
フレームは既にパウダーコート工程へと送られており、お盆前には戻って
来ている事でしょう。
お盆明けから前後足回りフィッティングを開始し、同時に今度はエンジンの
ガンコートと精密内燃機加工・・・
そして何と言っても、オークションとの睨めっこは この後もずっと続きます。
S・Nさ~ん!
久々のブログ更新となりましたが少しづつ進んでおりますので、気長にお待ち
下さいね~っ!