こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
まだご紹介が出来てない製作中のRCMが それこそ何台もあってと、以前にも
お話しておりましたが、今回からご紹介するRCMもそんな中の1台・・・
他の車両も含めて ここまでお見せ出来なかったのは、ひとえに中村の力不足で
大変恐縮です <(_ _)>スンマセン
これよりご紹介しますRCM-514のオーナーは 神奈川県在住 Y・Hさんで
RCM-061 MK‐Ⅱのオーナーでもあり、2台目となるこのRCM-514は
少数派となる珍しいZ1100GPをベースにしたRCM・・・
かなり力の入った仕様となる1台ですので、ぜひ期待して頂ければと思います。
ベースとなったZ1100GP(B2)は アメリカ ロサンゼルスに設立した
サンクチュアリー本店の直系会社 Radical Construction Manufacture USA INC
通称 “RCM USA”が 現地で探して手に入れ 日本に送られて来た車両・・・
カリフォルニアでの空冷Z事情はもはや絶滅危惧種で 滅多に見つかりませんが
たまに出物車両と出会えるんで 現地スタッフには常に気にして貰ってます。
今回のベース車もなかなか良い状態の車両で Z1100GPベースのRCMを
造りたいと言う方には打って付けと思い輸入したんですが、早速 Y・Hさんが
名乗りを上げてくれて既に作業は昨年後半から進んでおりました。
フレームはもちろん、ダミーエンジンを搭載した状態でレーザー測定を行い
僅かに見られたヘッドパイプとシートレールの振れをストレッチしています。
この後フレーム補強やレイダウンなど 大掛かりな加工を施しますし、最後は
パウダーコートしますから、この最初の修正工程は必須と言えるでしょう。
エンジンはもちろん Z系用のTMRやF‐CRキャブレターを簡単に取り付け
出来るB2です。
これがB1だったりすると、シリンダーヘッドの大加工、もしくは交換と言う
事になりますから ベースは絶対B2に拘ります。
もちろんB1ヘッドをB2と同じインテーク形状に加工して! と言われれば
Zレーサー3号機のヘッド同様に 溶接盛り→成形と言う加工も出来ますけど
あれ、出来ればやりたくないんですよね・・・ 大変なんで (;^ ^A
前期型Zと大きく異なる、フロントエンジン固定のラバーマウント式構造。
最大の振動発生源であるクランクシャフト近くをフローティング構造として
バイブレーション低下を実現させたのは進化の証なんでしょうけど、距離を
重ねたり あるいは激しい加減速を繰り返すと、フロントがラバー式な事から
ドライブチェーンに引っ張られ エンジンが前後方向に動いてリアのリジット
マウント部にしわ寄せが出てしまう・・・
それはリアエンジンマウント部の補強をしたとしても 完全には防げずで・・・
ここ最近は考え方を変えて このラバーマウント式を廃止し ラバーと同寸法の
ジュラルミンカラーを製作して完全なリジットマウントにしているんですけど
懸念してた振動が思っていたよりも発生しないので 現在は完全にその手法で
定着しています。
ヘッドカバーを開けると しっかり油膜が残った内部が現れました・・・
このZ1100GP 現地では普通に乗っていた車両らしく、それこそがこの
良いコンディションを保てていた事の条件と言えるでしょう。
エンジン分解も容易で、いつもなら必ず1~2本は折れるネジもなし・・・
車体からエンジンまで全てに手を入れるRCMとは言え、ベース車の程度が良いに
越した事はありません。
その良いベース車が世界中で枯渇してしまってる事に 困ってるんですけどね (^^;)
エンジン鋳造部品をガンコートに出せたので、これよりフレーム加工に移行します。
Z1100GPのフレームには、基本的にZ1000J/R系と同じメニューを
施します・・・
Z1000J/R系フレームは前期型Zに比べ最初から補強が入っている構造で
メインフレームへの補強は殆どなし・・・
ですが 先ほども説明しましたエンジンマウントの強化は必須で、そこを重点的に
しっかり補強をします。
これまでのやり方だと、この左リアエンジンマウントのカラーを支える形で
パイプをフレーム側と繋ぎ、カラーその物も動かない様 溶接してたんですが
カラーは動かなくともボルトはしなってしまい、フレーム側は問題がなくとも
結局ケースは後ろに引っ張られて どうしてもボルトが弓なりに曲がると言う
現象を防げずにおりました・・・
ですが今は、ゼファー1100のフレームを参考に閃いた補強を行っており
これにより革新的に問題が解決・・・
まずはおなじみのピボット上、左右を繋ぐバイパスパイプを溶接して・・・
SS400から切り出し 曲げ込んで強度を持たせたブラケットを、ノーマルの
エンジンマウントを固定治具にして 先ほどのバイパスパイプに溶接します。
この時のブラケットの位置は なるべくエンジンを真後ろから支える様な角度で
位置決めするのが大切・・・
こんな感じになります。
ちなみにこの後 従来のマウント部を切除したりと、まだ加工はあるんですが
それはまた次回お見せするとして・・・
このエンジンマウントの何がメリットなのかと言えば、この構造にする事で
マウントボルト自体を短くする事が出来たのが最大の利点でした。
オリジナルフレーム RCM USA A16の後部エンジンマウントもそうですが
クランクケースのマウント部幅と同じ長さ位の短いボルトにする事で、ボルトに
力が加わってもしなりにくくなる・・・
ボルトがしならなければ クランクケースは後ろに動きませんから、この構造に
変更して以来、J/R系のフレーム補強は本当に革新的に改善されたんです。
次回はエンジンマウント補強の完成形をお見せし、これまたJ/R系ならではの
特徴的なリアサスレイダウン加工をお見せしますね (^^)/
Y・Hさ~ん!
4月末にはステップマウント以外、全部終わってると思いますよ~っ!