こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
神奈川県在住 Y・Hさんの、RCM-514 Z1100GP(その2)です。
Z1100GPのフレームに施すメニューは、Z1000J/R系と同じ
メニューで、前期型 KZ系フレームの補強とは方向性が全く異なるもの。
メインフレームへの補強を中心メニューとするKZ系に比べ、J/R系では
ほぼエンジンマウントの対策に尽きる補強となります。
唯一このピボット部に施したガセットモナカ合わせだけが、エンジンマウントに
関連しない補強・・・
このあと左側のピボット内側にも、オフセットされたドライブチェーンラインの
通過軌道を確保するインライン処理を施し、同じようにガセットモナカ合わせの
補強を施します。
そのインライン処理に絡んで、左側ノーマルエンジンマウントもグリーンの
テープ縁に沿ったラインでカットし プレートを切り出して蓋をし溶接・・・
奥に見える新規追加したエンジンマウントブラケットと共締めにはしません。
あくまでも長いマウンティングボルトを使用しない構造へと造り込みます。
180サイズのリアタイヤを装備するのに 前後スプロケットの取り付け面を
車体センターから105mmの位置へとオフセットさせるんですが、幅の狭い
ナロータイプのEK530RCMチェーンを使用しても フレームの内側に
チェーンが干渉してしまう為、このインライン処理は欠かす事の出来ない加工。
先ほどの左エンジンマウント部をカットし ガセットモナカ合わせの補強まで
施した完成画像は、このあとレイダウンに移る為 次回お見せしましょう (^^)
そのレイダウン加工に入る前に、まずは治具の一部となるシャフトを製作。
旋盤でパイプ外径の精度を出して・・・
そのパイプを専用のレイダウンブッシュに差し込み、左右を真っすぐ一本で
繋ぐ形にしたら 更に外側からいつものレイダウン治具でホールド・・・
J/R系のレイダウンは 前期KZとこれまた大きく異なり、シートレールに
穴開けをしてブッシュ挿入するのではなく シートレール下側のアングル部を
削ってそこにブッシュを食い込ませる形にします・・・
もちろんそれだけでは強度不十分なので 切り出して板金したプレート材を
用い 囲った様な形のアングルにしてあげるんです。
KZ系のレイダウンよりも大変な加工ですが、理想的なリアサス取り付け
角度と位置にする為、例え遠回りでもここでしっかり造り込んでおく。
なかなか大変な加工ですけど、実はこの手の加工は年間通じて結構な台数
やっており、中村から見ても 湯浅・佐々木あたりは相当な手練れですね。
まぁ~ でも・・・ ウチの厳格な工場長(誠太郎)あたりに言わせりゃ
「3Dキャドで解析し ベンダーでパイプを曲げ、Tスロットテーブル上で
一から完璧な精度のフレーム造ってみろ! それもただ姿・形になったと言う
フレームではなく Zで筑波を58秒ラップ出来るフレームだぞ!」 なんて
言われちゃいそう・・・
今まで25年間、それこそ沢山のメカ達がここ本店に入門して来て独立して
行きましたが、ぶっちゃけ中村が見た限り 今の誠太郎は別格レベルと思える
節もあって、誠太郎の超高水準レベルで鍛えられてるウチの連中は・・・
「大変だな~ 昔はもっとレベル低かったのにな~・・・ ( ̄▽ ̄) なんて
あんまり言わんでおきます (;^ ^A クワバラクワバラ
溶接の途中 何度も手を止め、治具のパイプがスルスルと軽く回るか確認・・・
スルスル回るなら 溶接によりレイダウンブッシュが斜目に引っ張られていない
確認になりますから、このパイプは固定用治具兼 左右精度の確認治具としても
役に立ってるんです。
治具を付けたままだともう溶接できないと言う段階まで来たら、治具を取り外し
最後の仕上げ溶接・・・
最後の最後までパイプの治具は挿入したまま、溶接をフィニッシュ・・・
左右の取り付けスパンは 例によって295mm幅の設定になってますから
ありがちな左リアサス下のリテーナーとドライブチェーンの干渉もなし!
いいですね! 気持ちよく完璧! (^^)/
でも、最後の作業が残ってまして・・・
ここまで頑張ってくれたパイプ治具でしたが、ここで切断して抜き取りを
します・・・
考え方として ここは左右を繋ぐ補強として残しておくと言うのもあるかも
知れませんが サンクチュアリーでは・・・ いや、正確には中村の考えは
ここを繋ぎません。
パイプ1本でも塵も積もれば意外な重量増となるし、フレームにはある種
良質な ”しなり”と言う性質が必要なもの・・・
実際リアサスマウントを左右繋いでいる車両って 中々見ないものですよ。
最後までパイプが回る事を確認し、切断して抜き取れば レイダウン完了。
Y・Hさ~ん!
次回はフレームの完成! お見せしますよ~っ!!
あ・・・
でも、もう見ちゃったスよね・・・ (^^;